希釈した粒子径と比較

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緩和時間から得た濃厚状態での分散度とレーザー回折法による粒子径比較

[概要]
グラファイトを用いて、濃厚状態のままでの分散度と希釈して計測した粒子径分布を比較する実験を行いました。

[実験]
1. グラファイトを分散剤を添加した蒸留水に分散させました。分散剤の量は粉体に対して同一濃度になるように添加ました。
2. 粉体濃度は10, 20, 40, 50wt%とし、遊星型ボールミルPL-7型(独国フリッチュ製)にて15分分散しました。
3. 緩和時間T2はCPMG法にて測定しました。 
遊星型ボールミルPL-7型(独国フリッチュ製) 遊星型ボールミルPL-7型(独国フリッチュ製) 遊星型ボールミルPL-7型(独国フリッチュ製)

遊星型ボールミルPL-7型(独国フリッチュ製)



[結果]
希薄状態で測定したレーザー回折法による粒子径分布の測定結果と、濃厚状態で測定した低磁場NMRによる緩和時間測定結果を表1に示します。

表1粒子径分布の測定結果と、緩和時間測定結果

粒子径と緩和時間

分散時の粒子濃度が高くなるにつれてD50値が小さく、布幅も狭くなることがわかりました。
今回の条件にてボールミルは高濃度にて1次粒子にまで分散する事が示唆されました。
緩和時間は全ての分散体において2成分で得られました。短成分は、グラファイトの層状部分に拘束された水かもしくは軟凝集体内部に存在する水と考えられます。長成分は、バルク状態にある水と微粒子界面に存在する拘束された水と考えられます。

緩和時間の長成分を分散度に換算した単位濃度当たりの緩和時間が最も短かった20wt%分散体の分散度を100%とし、他の濃度での分散度を比較しました。

粒子径D50と分散度の関係をグラフ1に示します。

粒子径D50と分散度の関係グラフ1 粒子径D50と分散度の関係

希釈して測定したレーザー回折法によるD50は、粒子濃度が高くなるにつれ小さく得られました。
緩和時間から算出した分散度は、20wt%が最も良好でした。

[考察]
分散対象にもよりますが、ボールミルにて分散させる際には強い圧力を受け止められるような硬い物質が必要な場合があります。今回は低濃度である事で十分な力が伝わらず、分散が不十分であると考えられます。希釈した粒子径は50wt%では力が十分に伝わり短時間で一次粒子にまで分散しましたが、緩和時間の測定結果からは20wt%より40、 50wt%のほうが分散度は低く得られました。更に短成分の存在量も濃度が高くなるにつれ多くなり、濃度が高くなると軟凝集体量の増加も考えられます。希釈した状態と希釈を行わない濃厚状態では分散凝集状態が異なる事が示唆されました。


*実験協力:フリッチュ・ジャパン株式会社



 
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