2種添加剤の吸着評価

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界面が異なる粒子への添加剤2種の吸着~分散剤のスクリーニング

[概要]
無機粒子に2種類の添加剤の特性を付与させた分散液を作成するためにどちらの粒子が適しているか選択する必要がありました。
粒子はどちらも同一の粒子径を有し同一の物質でした。ただ界面の特性は異なりました。
パルスNMRから得られる緩和時間から2種類の添加剤が吸着する粒子がどちらであるか検討を行いました。

[実験]
1. 無機粒子1,2をそれぞれ水に分散させ、添加剤A,Bを加え緩和時間の測定を行いました。

2. 得られた緩和時間からRsp値(⑥式参照の事)の算出を行いました。
3. 粒子濃度、密度ともに同一でしたのでRsp値の比較でも問題ありませんでしたが単位体積当たりのRsp値として比較しました。

[結果]
粒子体積比/Rsp値のグラフを以下に示します。

緩和時間から添加剤の吸着評価


グラフ 粒子体積比/Rsp値


Rsp値とはバルク液の緩和時間と粒子分散試料の緩和時間の変化割合のことで、値が大きい方が粒子界面に多くの溶媒が拘束されている事を示します。以下の式から算出することができます。

緩和時間変化割合の式


<<粒子1>>

Rsp値『B >添加剤無 ≒ A ≒ A+B』

★添加剤Bを添加すると粒子に吸着し水の拘束量が多くなりました。
★添加剤Aは水のみに粒子を分散させた際と大きな違いはなく、添加剤Aが吸着しているのか判りませんでした。
★添加剤A、Bの両方を加えると添加剤Aのみと同様に、水のみに粒子を分散させた際と大きな違いはありませんでした

上記結果より粒子1の水分散体に添加剤AとBを加えた場合、下記2点が予測されました。
①粒子1には添加剤Bが吸着するが、添加剤Aがその上を覆う事で水を化学結合する事が出来なくなった可能性がある
②添加剤Bは粒子1よりも添加剤Aとの結合力が大きく、添加剤AとBの両方を加えると脱着する可能性がある

本実験のみからはどちらの現象が起こっているかは判りませんが、粒子1の水分散体に添加剤A,B両方の性質を付与させることが困難である事が示唆されました。

<<粒子2>>
Rsp値『B > A+B > 添加剤無 > A』


★添加材Bを添加すると粒子に吸着し水の拘束量が多くなりました。
★添加材Aを添加すると粒子に吸着し水の拘束量が少なくなりました。
★添加剤A,B両方を加えると添加剤無しの系より拘束量はやや多くなりました。

上記結果より粒子2の水分散体に添加剤AとBを加えた場合、下記2点が予測されました。
①粒子2は添加剤A、B両方を吸着可能な界面を有していると考えられる。
②添加剤Aは粒子に吸着はするものの、水の化学結合が少なくなる添加剤である可能性が高い。

[考察]
粒子2が添加剤A、B両方を吸着する事が可能な、本実験での目的の粒子であると考えられました。
⇒緩和時間を測定する事によって同じ添加剤でも粒子の種類によって吸着特性が異なる事が確認できました。


緩和時間から添加剤の吸着評価



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