セメント凝結遅延時間

セメントの凝結遅延時間を 緩和時間から予測

セメントの硬化に伴う状態変化を捉え、凝結遅延調整剤による影響を比較した事例です。

概要

セメントは水と混合し、水和により凝結することが知られています。 凝結の際に水和熱が発生するため、凝結時間をカロリーメーターにて測定する方法が知られていますが、パルスNMRにて簡便に凝結時間の比較が可能か、実験を行いました。

セメントに水のみを加えたもの、および水と凝結遅延調整剤を加えた2種類の分散体について、緩和時間を測定しました。

測定にはTD-NMR SpinTrackを用いました。 得られた緩和時間から、セメントの硬化遅延メカニズムと硬化遅延時間を予測しました。

実験

1

セメントが50wt%になるように水を加えたもの、およびセメントの凝結遅延調整剤を加えた分散体の2種類を用意しました。

2

60℃において、それぞれの粘度および緩和時間T1を測定しました。

カロリーメーターを用いたセメント凝結遅延の評価例

カロリーメーターを用いたセメント凝結遅延の評価例

パルスNMRを用いた凝結遅延時間の予測

初期粘度と緩和時間T1の変化から、凝結遅延調整剤による影響を確認しました。


初期粘度の比較

最初に、レオメーターを用いて測定した粘度とせん断速度の関係を示します。

セメントの初期粘度とせん断速度の関係

セメントの初期粘度

凝結遅延剤を添加した分散体の方が、低せん断域での初期粘度が10倍ほど大きくなりました。

緩和時間T1と経過時間の関係

次に、TD-NMR SpinTrackを用いて測定した緩和時間T1と経過時間の関係を示します。

緩和時間T1と経過時間の関係

緩和時間T1と経過時間

凝結遅延剤を添加した分散体の方が初期粘度は大きかったのに対し、緩和時間T1は、セメントと水のみの分散体の方が短く得られました。

緩和時間10msを硬化開始と判断する考え方

結果・考察

結果

1

凝結遅延剤を添加した分散体の方が、低せん断域での初期粘度が10倍ほど大きくなりました。

2

初期の緩和時間は、セメントと水のみの分散体の方が短く得られました。

3

どちらの分散体も、時間経過とともに緩和時間が短くなりました。

考察

粒子が含まれない場合、粘性が高い物質の方が緩和時間T1は短く得られます。
しかし本実験では、初期粘度が大きい凝結遅延剤入りの分散体よりも、セメントと水のみの分散体の方が短い緩和時間を示しました。

このことから、凝結遅延剤はセメント粒子に吸着し、水の拘束を阻害する性質があると考えられました。

凝結による運動性の低下を、時間経過に伴う変化として簡便に数値化することができました。

パルスNMRを用いることにより、硬化遅延メカニズムと硬化遅延時間を簡便に予測することができました。

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