とろみ剤の比較

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2種類のとろみ剤の嚥下しやすさを比較

[概要]
とろみ剤は、食品粘度を上げ嚥下困難者の肺に食品が入りにくく飲みやすくするためのものです。
以下のように傾向の違うA,B2種類のとろみ剤を、伸長粘度計(キャピラリー破断方式レオメーターThermo Scientific™ HAAKE™ CaBER1)TD-NMR Spectrometer Spin trackにより数値化して比較しました。
とろみ剤A:ダマになりやすく嚥下がしにくい ✖
とろみ剤B:嚥下がしやすくAよりも利用者からの評判が良い 〇

伸長粘度計

Thermo Scientific™ HAAKE™ CaBER1


[実験]
1. 10mlの蒸留水にとろみ剤0.1g,0.2g,0.3gをそれぞれ加えてスプーンで攪拌しました。          
2. 10mmφ40mmガラス製試管に分取し30℃でCPMG法にて測定を行いました。

[結果]
◇伸長粘度測定
結果を以下に示します。
パルスNMRでとろみ剤の緩和時間測定


とろみ剤A

・粘度曲線が全体的に大きく傾いて得られました。
・粘度曲線に2コブあるいは3コブと複数のコブが見受けられました。
・粘度曲線が濃度間でお互いに重なって得られました。

とろみ剤B
・粘度曲線の傾きが小さく平坦に得られました。
・粘度曲線が濃度間でお互いに重なっておらず、濃度と粘度値が比例関係に近く得られました。

◇TD-NMR 測定
得られた緩和カーブを以下に示します。
パルスNMRでとろみ剤の緩和時間測定


濃度による緩和時間変化のグラフを以下に示します。

パルスNMRでとろみ剤の緩和時間測定

          

とろみ剤A
・とろみ剤Bより緩和時間が短く得られました。

とろみ剤B
・とろみ剤Aより緩和時間が長く得られました。
・とろみ剤Aと比べ、濃度による緩和時間変化が小さく得られました。

[考察]
◇伸長粘度測定
とろみ剤A
・ひずみ増加に伴い増粘しているため、嚥下時に飲料が引き伸ばされるに従いまとわりつくひっかかるなどの感触の要因となり、のみにくさにつながっていると考えられます。
・粘度曲線のコブの数だけ緩和構造の存在が示唆され、サンプルの白濁物や、ダマの起因となっている可能性が考えられます。

とろみ剤B

・ひずみ硬化が起きにくくニュートン流動に近いことを意味して得るため、嚥下時に飲料がまとわりつくひっかかるなどの感触が得られにくく、のみやすさにつながっている考えられます。

◇TD-NMR 測定
とろみ剤A
・ゲルの構造化によるネットワークが多く存在し、かつひずみ硬化がしやすいことで嚥下しにくいとろみ剤であることが示唆されました。
・ダマを作りやすく扱いづらい傾向がありました。これはゲルの構造化によるネットワークがより多く存在することに起因すると予測されます。

とろみ剤B
・濃度による緩和時間変化が小さいことから、濃度が多少変化してもとろみが大きく異なる事が無い事を予測します。

食品にとろみを持たせる現場では精密な秤量は困難である場合が多く人依存性が大きいだろう。
大まかな調製によって大きな違いがない均一な状態を作成し易い事が考えられ扱いやすさにもつながっていると予測します。

伸張・延伸によるイメージ図を以下に示します。
パルスNMRでとろみ剤の緩和時間測定
⇒伸長粘度と緩和時間の測定により、とろみ剤の種類による嚥下のしやすさの理由を数値化する事が出来たと考えます。

実験協力:
Surfgauge INSTRUMENTS  様

 
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